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日本のエンタメを世界へ!TBS×カタール、DIGブランドスタジオ室がグローバル戦略始動

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2025/7/31 13:34

TBSテレビでは2025年7月1日から、信頼できるデジタル上の新しい形の情報発信や、リアルイベント、企業や団体、研究機関等が抱える課題をコンテンツの力で解決するブランデッドコンテンツなどを企画・制作するDIGメディア局ブランドスタジオ室が発足した。2025年7月29日、この事業の最初の取り組みの一つとしてカタール政府関連機関「Media City Qatar(MCQ)」の協賛、TBS CROSS DIG主催のもと、“中東”という新たなフロンティアを背景に、日本コンテンツのグローバル進出の可能性を探るシンポジウムがオークラ東京で開催された。ブランドスタジオ室が運営する初めてのイベントとなった。
オープニングではMCQのCEO、Jassim Mohamed AI Khori氏があいさつし、カタールに進出する日本企業に対して包括的な支援を約束した。例えば、登録・ライセンス料の100%免除や、補助付きの一等地オフィススペース、迅速な法人設立手続きなどだ。そして、何よりもカタールはGCC(湾岸協力会議)諸国、アフリカ、南アジアなどにビジネス展開するうえで地理的にもゲートウェイとなる国である。
MCQは2019年、ドーハの中心に設立されたメディア、コンテンツ、デジタルイノベーションのハブであり、総合格闘技イベント「ONE171」など国際的なスポーツやエンターテインメントの制作拠点になっている。注目すべきは全体の60%がスタートアップ企業であること。大企業だけでなく新しい才能を育てる場所としてもMCQはユニークな存在である。
GCC諸国のメディア・エンターテインメント市場は2028年までに600億ドル以上に成長すると予測されており、日本のメディア・コンテンツ産業にとって魅力的な地域である。日本のエンタメ・コンテンツ産業は半導体や鉄鋼産業に次ぐビジネスとして期待されており、政府も2033年までに海外売上高を5兆円から20兆円とする目標を掲げている。本シンポジウムでは2国間によるビジネスの協業についての生産的な議論が行われた。

■カタールの魅力 中東とエンタメの可能性
Jassim Mohamed AI Khori氏(Media City Qatar CEO)
水野詠子氏(映画プロデューサー)
モデレーター:竹下隆一郎(TBSテレビ特任執行役員/CROSSDIG CCO)

映画プロデューサーの水野詠子氏が登壇し、「カタールの魅力 中東とエンタメの可能性」をテーマに、総合モデレーターの竹下隆一郎(TBSテレビ特任執行役員/CROSSDIG CCO)が話を聞いた。
水野氏はカタールとの共同制作映画を多数プロデュースし、「PLAN 75」では第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラドール特別表彰を受賞した。水野氏はカタールと仕事をした感想として「最初から前向きにオープンな目で受け入れてもらえた」と感謝した。さらに、カタールのコンテンツ産業の印象については「一言で言って、とても熱い。熱心。(国が)若い人の映画制作に対してサポートする姿勢もそのためのインフラも非常に整っているのはうらやましい限り」と話した。
「PLAN 75」は75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本が舞台であり、少子高齢化という極めて日本的な問題が題材だが、水野氏は「尊厳を持って年を取って重ねていくことは、どの国でも抱えている問題」との声をカタールの映画関係者からもらったと話す。そのうえで、海外制作するために何かとくに意図的に変えるということはないとも言う。ただ、海外からのフィードバックに、監督や作り手の中に響くものがあれば、積極的に取り入れるようにしているという。
コンテンツ産業としての日本の映画について、「日本では年間700本近い作品が作られ、非常に優秀な作品もたくさんある。観客もたくさん入るし興行収入も日本だけで自己完結できるマーケットなので、あえて海外の人にも届けたいと思わないかもしれない。しかしながら、そうした時に色々な国ともコラボレーションすることで新しい道が開けるというのは感じている」と話した。

■映像業界の世界進出とは
大友啓史氏(映画監督)
森井 輝氏(株式会社THE SEVEN 取締役副社長 CCO/チーフコンテンツオフィサー/プロデューサー)
モデレーター:竹下隆一郎(TBSテレビ特任執行役員/CROSSDIG CCO)

映画監督の大友啓史氏とプロデューサーの森井輝氏が登壇、映像業界の世界進出をテーマに会談した。森井氏は現在、TBSホールディングス全額出資のコンテンツ企画開発会社「THE SEVEN」所属だが、Netflixで「今際の国のアリス」シリーズや「幽☆遊☆白書」などを手がけてきた。「るろうに剣心」シリーズなどでヒットを飛ばした大友氏は監督を務める「10DANCE」が12月にNetflixで配信予定だ。日本でも配信メディアの影響力は年々大きくなっている。
「Netflixが日本支社を作るというときに、映画でもないテレビドラマでもない新しいジャンルを作れるというタイミングだったので、世界中の人が見られるものを作ろうと。予算もかかるし大変だったが、提案が通りここまできた」と森井氏は話した。
大友氏はNetflixを「コンテンツ業界のグローバルスタンダード」と評する。制作サイドの考え方や脚本の作り方、そして予算の規模などすべてが日本でもかなり変わってきたと感じるという。また、働き方も大きく変わったという。「朝から撮影していてもちゃんと休める時間を作るとか、とくに監督の場合は、撮影時間の制限を設けられて、いろいろ考える時間や余裕ができた。ディベロップメントにかなり時間をつけるというのが常識化してきたような気がする。ディベロップメントは企画を考える時間だが、それは日本では軽視されてきた。アイデアそのものに対するバリューがかなり認められる形になってきている」と話した。
日本の映像産業は日本だけで回収できてしまっていたために、日本のクリエイターはあえて水野詠子氏のように世界に出るという選択をしなかったというのは二人の共通した意見だ。また、海外進出が遅れたのは海外へのセールスマンが少なかったこともある。
日本のアイデアがガラパゴス化してきた部分があるものの、そのガラパゴス化したアイデアは、むしろこれから一気に花開く可能性があるという。海外の人たちにはオープンになっていなかったからだ。
配信コンテンツの場合、必ずしも大きなモニターで見られるとは限らない。スマホのような小さな画面で見ている若者も少なくない。よって、配信コンテンツと映画、地上波テレビドラマはまったく別物だと考えるべきとの意見だ。小さな画面で見る場合、技術よりもむしろストーリーが大切になってくる。配信メディアにより海外進出へのルートができた今、若いクリエイターはどんどん世界を目指すべきであると二人は話した。

■地球を熱狂させるプレイステーションとは?
久夛良木 健氏(近畿大学 情報学部 学部長 教授/アセントロボティクス株式会社代表取締役兼最高経営責任者(CEO)/ソニー株式会社 元副社長兼COO)
MC:宇内梨沙(ゲーム配信者、元TBSアナウンサー)

ソニーでプレイステーションの開発を手がけた“プレステの父”である久夛良木健氏が登壇した。ゲーム配信者で元TBSアナウンサーの宇内梨沙氏が、プレステ誕生と世界に与えた影響、ゲームコンテンツの未来について話を聞いた。
プレステが誕生する前は、ゲーム機はどちらかといえばエレクトリックトイ、すなわち玩具扱いだった。コンピューターがすごい勢いで進化する中で、クリエイターらの社会的評価の低さに思いが至り、「世界で一番初めにエキサイティングなコンピューターのプラットフォームを作って、そこで世界中のクリエイターたちが集まる場を作りたいというのがプレステを作る最初のきっかけだった」と久夛良木氏は語る。ただ、1990年当時のパソコンは、映像がほとんど動かないスペックのものだったが、21世紀になる前にそれを何とかしてやろうという意気込みが開発者たちを動かした。
プレステの誕生はゲーム機そのものの社会的評価のみならず、エンタメのトップである映画業界などから才能あるクリエイターたちをゲーム業界に引き寄せることにも成功した。
「CGで映画1本作るのに2年かかっていたが、ゲームならそれと同じクオリティでリアルな感じで作れてしまう。そうなると、新たなコンテンツがそこで生まれる可能性があるわけで、映画は年間に何百本も作れない。でも、ゲームならたくさん作れる。クリエイターはそこに魅力を感じた」
これからのゲームコンテンツとエンタメはどうなっていくのか。
「今のゲームソフトビジネスは全世界でものすごく進化している。中東地域でも伸びていて、eスポーツもその1つ。クリエイターも同じように日本だけじゃなくて、世界のクリエイターがその手にこのレビューが入ってきているわけで、おそらく、これからさらに革命が起きる。世界がリアルタイムで遊べる時代、もしくはその中に住むという感じが共存する時代になってくるのではないか。現実との境が徐々にシームレスになっていくかもしれない」と話した。

■海外で通用するコンテンツ
乾 雅人氏(『SASUKE』総合演出)
玉樹真一郎氏(Wii企画開発担当)
MC:杉山真也TBSアナウンサー

世界165以上の国と地域で放送されている『SASUKE』の総合演出を手がける乾雅人氏と任天堂で「Wii」の企画開発を担当した玉樹真一郎氏が登壇した。『SASUKE』と「Wii」の制作秘話、海外進出のきっかけ、世界でヒットしたコンテンツとなった理由について話をした。
『SASUKE』は元々、スポーツバラエティ番組の2時間スペシャル特番のワンコーナーだったが、“忍者”というキーワードだけで作り上げた番組だという。100人の出場者で100種類の職業という設定で誰がチャンピオンなのか決めるものだ。詳細な説明がなくても見ているだけで誰もが理解できるのは番組の魅力だ。
玉樹氏は「ゲーム嫌いの祖母にも一緒に遊んでほしいな」という漠然とした動機から「Wii」を考え始めたという。また、当時のゲーム機のコントローラーは複雑化していて、素人がコントローラーを渡されてもすぐには扱えないようなものになっていたことや、当時、たまたま会社がゲーム人口の拡大という戦略を掲げていたこともあって、玉樹氏はゲームの未来は明るくなるのかと真剣に考えていたそうだ。「ゲームに対するそれまでの真逆のイメージ、つまり家族みんなで健康的にできるゲームってどんなものかということを考えた」と話す。
どちらのコンテンツも海外進出して、多くの幅広い世代に愛されているのが共通だ。『SASUKE』がアメリカで放送されたきっかけはケーブルテレビだった。それを地上波のNBCがアメリカ人プレーヤーで放送することになった。アメリカでのヒットをきっかけに、ヨーロッパやアジア、オーストラリアなどでも自国プレーヤー版放送が増えていったという。乾氏は世界的にヒットした理由の1つは「言葉の説明がなくても見ればわかるということ。ナレーション説明が必要なものは伝わらない。出場者の紹介も漁師とかパン屋さんとか、見ればわかるようになっている」と話す。
玉樹氏は現在、青森県八戸市で個人事務所の代表として、コンサルティングや地域活性化の仕事をしているが、「田舎のおじいちゃんやおばあちゃんはあまり話を聞かない」と語る。しかし、そういう人たちに理解してもらえないなら、海外に行ってもわかってもらえるはずがないという姿勢で仕事をしているそうだ。わかってもらえない悔しさがモチベーションとなり、アイデアをシンプルにして伝えることの大切さは万国共通と考えられる。

■企業のトップが語る グローバル戦略
宇田川 南欧氏(株式会社バンダイナムコエンターテインメント 代表取締役社長)
モデレーター:竹下隆一郎(TBSテレビ特任執行役員/CROSSDIG CCO)

バンダイナムコエンターテインメント代表取締役社長の宇田川南欧氏が登壇、世界に日本のコンテンツがどう広がるのかをモデレーターの竹下が聞いた。
「ガンダム」や「鉄拳」、「アイドルマスター」シリーズ、近年ではフロム・ソフトウェアとの共同開発となる「ELDEN RING(エルデンリング)」「ARMORED CORE™ VI FIRES OF RUBICON™」のヒットなど、世界的なヒット作を生み出すバンダイナムコエンターテインメント。同社が発表するタイトルは、自社IP(知的財産)として数多く手掛けている。リアルイベントから、メタバース関連のイベントといった、オンライン、オフラインにとらわれない企画を中心に事業展開しており、生活のあらゆるシーンでIPの世界観を楽しめるようになっている。
例えば、ゲームソフトの海外売上比率はほとんどのタイトルが50%を超えており、宇田川氏は「最初からグローバルを意識して企画開発を行っている」と語る。
同社で抱えるIPは400以上あり、すべてIPごとに商品やメディアでの展開も変わってくるので、年齢や場所などの設定を一つ一つ細かく決めているという。「世界19か国33拠点、ローカルのマーケティングには力を入れているところがありますし、やはりそのIPによって届け方が違うので確認しながらやっていく」と話した。

コンテンツ企業、商社、メディア、駐日カタール大使館、広告企業など多様な分野から460人が参加し、盛況のうちに幕を閉じた今回のシンポジウム。
トップクリエイターたちの熱のこもったトークにMedia City Qatarのタイール・カレド・アナニ氏は「日本のクリエイターは、日本のマーケットにとどまっていることが問題で、これから飛び出していくことが大切。その中でカタールはゲートウェイになり、アラブ諸国、北アフリカとも繋がり、その地域はとても消費する。カタールは若い世代が多いので日本のコンテンツはきっと刺さると思います」とパートナーの優位性を強調した。
TBS CROSS DIGは今後も、企業の課題、問題に親身に寄り添い、放送・配信に限らない信頼できるコンテンツの力で解決していく。

◆TBS CROSS DIG with Bloombergとは?
TBSテレビとBloombergが共同で運営する、国際社会のニュースや情報を発信するウェブサイトおよび番組。具体的には、TBSの番組制作者や記者が、Bloombergの持つビジネスや金融分野の報道、市場分析、動画コンテンツを活用し、国際ニュースを深掘りする内容を配信している。

◆Media City Qatarとは?
Media City Qatar(MCQ)は、2019年にカタール政府がドーハに設立した国家主導のメディア特区。MCQは中東地域のメディア産業のハブとして、グローバルなクリエイターとの交流拠点となることを目指し、インフラの整備や財政面でのサポート体制を整えている。

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