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『ESCAPE』第2話をどう見たか?
2025/10/16 06:00
桜田ひよりと佐野勇斗がW主演を務める『ESCAPE それは誘拐のはずだった』の第2話が15日に放送された。
※第2話のネタバレ含む
このドラマは誘拐事件をきっかけに、人質の結以(桜田ひより)と誘拐犯である大介(佐野勇斗)が、何故か2人で逃避行をすることになる…はずだったのだが、第2話ラストでは、思いがけず“ある少年”まで巻き込む事態へ発展するという、予測不能のヒューマンミステリーに仕上がっている。
これまで何度見たか知れない、ありきたりなラブストーリーを思い浮かべてほしい。
まず出会いのシチュエーションは“最悪”で決まっている。当然、最後に結ばれることが確定している2人の関係が最初から“最良”ではドラマは生まれないのだ。とはいえ、“最悪”とは言いながらも2人の丁々発止は恋人同士のそれであり、お互いの気持ちに気が付くのに時間がかかっている。
また、口を開けばケンカばかりなのだが、はたから見れば思い合う2人のじゃれ合いにしか見えず、だけど心のどこかで、自分を理解しているのはこの人しかいないと確信している。だが、それを認めようとしない。素直になれないのだ。そして、恋人同士になる前の2人といえば、どちらか一方だけの気持ちが先行し、じれったいすれ違いが起きている…。
さて、翻って今作の結以と大介だが、そんなラブストーリーの定型に見事に当てはまっている。出会いは誘拐という最悪中の最悪でありながら、話せば冗談も言い合える気の合う2人。そのやりとりはまるで恋人同士のようであり、人質と誘拐犯という緊張感はあまりない。そして常に言い争っている2人なのだが、はたから見ればそれはもう相思相愛にしか思えない。

そんな中、先に“自分の気持ち”に気が付いてしまったのは、大介ではなく結以だった…。
“自分の気持ち”とは、ラストで結以がつぶやいた「当てないでよ…」を、筆者が深読みし過ぎたきらいはあるが、側(がわ)だけをなぞってみると何から何まで、ありきたりなラブストーリーの定型だろう。
しかし今作は、誘拐というキャッチーなトピックを用いながら、恋愛ドラマのフォーマットを当てはめ、視聴者の門戸を広げるといった安易さや陳腐さは感じられない。むしろ、何気ない結以のセリフにまでこちらが思いを巡らせてしまうほど、“意味”を感じさせてしまうストーリーテリングだ。
それはなぜか。“誘拐”と“思い合う2人(≒恋愛)”が見事に合致しているからだ。最初は正真正銘の誘拐だった計画が、たちまち2人の逃避行へ転じていくさまを納得させるには、そうならざるを得ない、状況説明だけでは収まらない“理由”が必要になってくる。それが、結以と大介の、ありきたりにも思えるラブストーリーだったのだ。
ラブストーリーの成功が、2人が出会った瞬間の関係性にかかっているのと同じように、今作も誘拐から逃避行へ転じさせるためには、結以と大介のカップリングを一瞬にして表さなければならず、それがまるでラブストーリーのようだった――だけなのだ。
そして今回の第2話を大きく動かしたのは、“高揚感”ではないだろうか。
物語の上では、結以が唯一信用できると考えた元家政婦の晶(原沙知絵)を頼った挙げ句、裏切られたという展開があり、そこにはなんら不自然な点は見受けられなかった。しかし、再会した晶のちょっとした挙動に、お邪魔した家のわずかな不自然さに、なぜ結以は気付くことができなかったのか?それは、結以が誘拐を通じて手にした自由ゆえの高揚感があったからではないか。そして、そこに大介と出会ったことによる高揚感もなかったと言えるだろうか。そんな重なる気持ちの高ぶりによって、いつもは冷静なはずの結以も、正確な判断力を失ってしまったのではないか。
さらにだ。その高揚感によって、結以は“ある少年”をも巻き込んでしまった。2人だけではなく、まさか子供まで巻き込む、3人による逃避行へと発展する…!という、ややもすれば要素過剰になってしまう展開だが、それが高揚感による危うさがもたらしたものだと解釈すれば、その高揚感こそが、この展開へと導いてしまう“説得力”へと変えてしまったのではないだろうか。
ありきたりなラブストーリーに話を戻すと、この先待ち受ける展開は、“互いの思いに気付く2人”、からの“すれ違う2人”という流れが常とうだろう。
それが今後も当てはまっていくのかはわからないし、現状当てはまっているとも限らないのだが、逃避行という外側にはない“何か”をどうしても深読みしてしまいたくなる。そんなドラマなのは間違いない。

■3話あらすじ
八神製薬の社長令嬢・八神(やがみ)結以(ゆい)(桜田ひより)と誘拐犯・林田大介(はやしだだいすけ)(佐野勇斗)。誘拐事件をきっかけに出会い、互いを『ハチ』『リンダ』と呼びながら逃げ続ける2人は、結以が母のように慕っていた元家政婦・城之内(じょうのうち)晶(あきら)(原沙知絵)のもとに身を寄せたものの、お金のために結以を八神家に売ろうとした晶と決別。晶にネグレクトされていた4歳の息子・星(ひかる)(阿部来叶)を放っておけなかった結以は、晶のもとから星を連れ去り、大介と3人で家族を装って逃走を開始した……!
一方、結以の行方を追う父・八神(やがみ)慶志(けいし)(北村一輝)は、大胆にも『八神結以を探しています』というウェブサイトを立ち上げ、情報提供者に最大1億円の懸賞金を支払うことを発表。するとSNSには『#八神結以を探せ』が瞬く間に拡散。インフルエンサーのまぁみぃチャンネル(加藤千尋・髙塚大夢)らがこぞって懸賞金欲しさに目撃情報を募り始めた…。
そうとは知らない結以と大介は、素顔も隠さずに飲食店で作戦会議。勢いで星を誘拐してしまった結以に、閉口する大介。「どうすんだよ!」「今考えてるの!」。言い争うだけで解決策が見つからない2人。その時、大介のスマホには“ある人物”から捜索サイトに関する情報が流れてきて、「やべ……めっちゃ捜されてる」。自分たちに懸賞金が懸けられていることを知った結以と大介は星を連れて店を出ると、人目につかない場所を求めて歩き始める…。
そんな中、結以を追って宇都宮までやって来た目付け役の万代(ばんだい)(ファーストサマーウイカ)は晶から情報を収集。大介の背格好などの特徴、結以から『リンダ』と呼ばれていたことを慶志に報告。晶はこっそり大介の寝顔写真も撮っていた。「これで結以ちゃんが見つかったら……1億円とはいいませんから」。連れ去られた我が子の心配よりもお金を無心する晶に万代らはあきれつつも、手に入れた情報をさっそく警察に報告する。
警察と八神家だけでなく日本中から追われる身となった結以と大介は、このまま自分たちだけで逃げ切るのは無理だと判断。危険を承知で、大介が過去に逮捕されるキッカケを作った知り合いの“ヤバいヤツ”に協力を求める決心をする。そして現れる“ヤバいヤツ”は、果たして2人の、敵か味方か――?逃走を続ける結以と大介は、重大な決断を迫られる…!!
◆「ESCAPE それは誘拐のはずだった」
毎週水曜よる10時~11時
(C)NTV

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