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「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平は「ESCAPE それは誘拐のはずだった」第3話をどう見たか?

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2025/10/23 11:00

桜田ひよりと佐野勇斗が主演を務める『ESCAPE それは誘拐のはずだった』の第3話が22日に放送された。

本作は、誘拐事件をきっかけに、人質の結以(桜田ひより)と誘拐犯である大介(佐野勇斗)が、何故か2人で逃避行をすることになるはずが、思いがけず少年まで巻き込む事態へ発展してしまうという予測不能のヒューマンミステリー。
※第3話のネタバレ含みます

このドラマを誰かにおすすめする際、あえて一言で表すならば「意外とちゃんとしている」だ。皮肉めいて聞こえるかもしれないが、そう表現するからこそ、今作の魅力が凝縮されているように思うのだ。

まず“意外と”の部分。今作に施されているどこまでもカジュアルな演出には、どんな意味があるのだろうか?と、この第3話を見終えるまで疑問に思っていた。なぜなら“ちゃんとしている”のだから、もっと本格サスペンスの体裁で、少なくとも今よりカジュアルではないデコレーションの方が、今作の秘めた緻密さが最短距離で伝わるだろうし、そのカジュアルさが、かえって軽い作品だと思わせるのではと危惧していたのだ。

しかしこの第3話を経て、今作のどこまでもカジュアルな演出――あの大胆でカラフルな英語テロップや、軽妙なヒップホップの劇伴こそが、“必要”だと気付かされた。
それは今回丁寧に描かれた、“なぜ彼らは逃げているのか?”の部分だ。

GPSを付け監視を強いられることが親の愛なのか?それは逃げるほどのことなのか?2人が協力し合う意味は?また、少年を巻き込んだことにより、その是非は?ネグレクトを受けた少年は親から離すべきなのか?はたまた親元へ帰すべきなのか?…実はこんなにも内包されていた“なぜ彼らが逃げているのか?”というその理由に、第3話では逃げることなくしっかりと踏み込んだ。だがそれを、どこまでもカジュアルに見せる=大層なことのように見せない…それが実に“カッコいい”と感じたのだ。

もし今作をもっと深刻なトーンで演出していたならば、それらの問いがかえって嫌みになってしまっただろう。そして、それらを大げさに語らせれば説教くさいものにもなっていただろう。しかしながら、カジュアルな演出によってテンポよく物語を展開させつつ私たちを油断させ、気付かないうちに深いそれらの問いに、考えさせる余地を作った。なぜ彼らは逃げているのか?少年はこのままでよいのか?を、ちゃんと考えさせる…。そんなことを、平然と自然にやってのけたのだ。だからこその、“意外と”に感じさせてしまう演出だったのだ。

続く“ちゃんとしている”の部分だが、今作のそれは、とんでもなく“ちゃんとしている”。

今回の第3話の肝は、思いがけず誘拐してしまった星(ひかる:阿部来叶)をどうするか?だっただろう。その描き方次第で、今作が“ちゃんとしているか”否かが決まったと言ってもいい。
星という存在は、言ってしまえば2人の逃避行に序盤から意外性を持ち込むための“アイテム”であって、その存在に深い意味はなく、ネグレクトを受けているという設定だけを作ってしまえば、誘拐の動機としては成立し、それだけで十分な役割だと思っていた。もっと邪推するならば、若い俳優たちに子供を紛れ込ませることによる“萌え”を狙ったのかとも思っていた。

しかし、今作は先にも触れたように、ネグレクトを受けた少年であれば誘拐してもよいのか?という当然の問いはもちろん、親元へ帰すべきか?自分たちといることが幸せなのか?第三者へ預けるべきなのか?そこに星の救いはあるのか?まで、しっかりと議論させ、まさか見事な決着まで描いてみせた。しかも、結以と大介がこれからも逃げ続ける理由の中に、“星のため”まで付け加えてしまったのだ。
カジュアルな演出で“意外と”と思わせながら、その実ディテールの積み重ねは丁寧過ぎるほど“ちゃんとしている”のだ。

(C)NTV

とはいえ、今作が油断できないのは、今回正体が明らかとなった、謎の協力者の登場を、志田未来という役者の存在感のみで突破してしまう“ダイナミズム”も持ち合わせている点だ。ディテールの積み重ねがある物語の中で、警察の情報まで仕入れることができるハッキングのプロというトリッキーな人物は異物でしかない。しかし、それを“志田未来”という存在感だけで突破してみせたのだ。あの登場の場面は清々しくもあり、不思議とカタルシスまで感じる場面であった。

カジュアルでありながら、深いテーマをさりげなく内包させ、勢いでけむに巻くような破綻のないディテールで紡ぎつつ、けれど勢いで跳ね返すエネルギーも時折放つ…。まだ序盤ではあるのだが、この作品の底知れぬパワーを感じた回だった。

■4話あらすじ

自由を求めて八神家から逃亡を続ける八神製薬の社長令嬢・八神(やがみ)結以(ゆい)(桜田ひより)と誘拐犯・林田大介(はやしだだいすけ)(佐野勇斗)は、裏社会に精通するガン(志田未来)の手を借り、警察の目をかいくぐって宇都宮を脱出。東京に戻った2人は、新たな潜伏先として、大介の元カノ・莉里(りり)(影山優佳)のマンションに転がり込む。結以のことも誘拐事件のことも知らない莉里に、結以は「父から虐待を受けている」とウソをつき、逃げるために大介と駆け落ちしたと説明。すると大介の期待通り、心優しい莉里は結以の言葉を素直に信じ、「結以ちゃん、大変だったね。狭いけど、うちでよかったら」と快諾。

一方、八神慶志(やがみけいし)(北村一輝)は、警察に断りもなく、手に入れた大介の名前や背格好の情報を捜索サイトで公開。それにより、懸賞金目当ての捜索争いはますます過熱してしまう。慶志の勝手な暴走に、刑事部長の蛯原(えびはら)(阪田マサノブ)はイラ立ちを隠せないが、大介を以前から知る少年課刑事・小宮山(こみやま)(松尾諭)だけは、この事件の本質に気づき始めていた…。
そんな中、八神製薬の周りを嗅ぎ回る記者・白木(しらき)(山口馬木也)から“さとり”のウワサを聞いた万代(ばんだい)(ファーストサマーウイカ)は、慶志の秘書・藤(ふじ)(田中俊介)に真偽を確かめる。八神製薬の創業者・八神(やがみ)恭一(きょういち)(間宮啓行)が持っていたといわれる特殊能力“さとり”・・・。藤もウワサでしか聞いたことがないと言いながらも、「社長の前ではタブーのようです」と万代に忠告する。その能力が、“八神製薬の闇”と関わっているのだろうか…?

莉里のもとに身を寄せる結以は、莉里とすぐに意気投合。「自由になったらやってみたかったことがたくさんある」という結以のために、莉里は仮装を用意し、3人でハロウィーンに乗じて街に繰り出す。警察にバレないようガンに見張ってもらいながら、結以は生まれて初めて回転寿司やゲームセンター、ファミレスに入り、これまでできなかったやりたいことを満喫し、まるで青春を取り戻したかのよう。
心を許した結以は、莉里のプライベートに踏み込んでしまう。莉里は現在職場で知り合った畑中(はたなか)一成(いっせい)(内博貴)と交際しているが、この交際には誰にも言えない秘密があった。その秘密を知った結以は莉里にアドバイスを試みるが、「そういうの、結以ちゃんにはわかんないよね」と返されてしまう。
その夜、莉里のことを心配する大介はガンに相談し、逃走中の誘拐犯と人質とは思えない、大胆不敵な行動に動き出す!しかしその頃、SNSでは結以と大介の精度の高い目撃情報が出回って、警察や万代が2人の元へ迫っていた・・・!!ついに、2人の逃亡劇は終焉を迎える!?

◆「ESCAPEそれは誘拐のはずだった」
毎週水曜よる10時~11時
#エスケイプ
(C)NTV

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