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「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平は『ESCAPE』第4話をどう見たか?

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2025/10/30 09:56

桜田ひよりと佐野勇斗が主演を務めるドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』の第4話が、29日に放送された。

本作は、誘拐事件をきっかけに、人質の結以(桜田ひより)と誘拐犯の大介(佐野勇斗)が、なぜか2人で逃避行を続けることになるというヒューマンミステリー。

今作は逃亡劇の“緊張感”と、その対極にある“ノンキ”のバランスが実に絶妙だ。

この第4話で大きく描かれたのは、前回“意味ありげ”に登場した女性が大介の元カノ・莉里(影山優佳)で、彼女の自宅に2人がかくまわれることになるのだが、莉里は家庭のある男性と不倫中…という、本筋で描かれる逃亡劇とはまるで関係のない“ノンキ”だった。

しかも、前回の“意味ありげ”を序盤であっさり元カノだと明かしてしまい、すぐに結以とも意気投合。さらには、逃走中の2人には1億円の懸賞金がかけられているのにもかかわらず、結以の“やってみたかったこと”を次々と実現させていくという余裕まで見せた。しかも結以と莉里の会話はたわいもない友達同士のガールズトークであったし、この第4話を振り返ってみれば “ノンキ”の連続だった。

しかし、今作においてその“ノンキ”こそが、最も尊いのだ。

結以の“やってみたかったこと”、それは、回転寿司やゲームセンター、フードデリバリー(後の“揚げ物パーティー”)、フェス(中盤のハロウィン)、ファミレス、人狼といった、いずれも何気ない青春の象徴だ。それらを丁寧に描き出すことで、ドラマは逃亡劇のスリルよりも、知らなかった“自由”と、“かけがえのない時間”の尊さを優先させている。つまり、今作はスリリングな逃避行の物語であるのとともに、彼らのみずみずしい青春譚でもあるのだ。

また、前回加えられた“1億円の懸賞金”も、単なるサスペンス要素だけではないだろう。“お金では買えない青春”を際立たせるための対比でもあるのだ。友人と過ごすどうでもいい時間…それらは、どんな大金にも代えがたい価値を持つ。今作が描こうとしているのは、まさにそのお金では買えない尊さなのだ。

さらに今回、“なぜ彼らは逃げているのか”という部分にも新しい解釈が生まれた。
それは、“救うため”だ。大介は当然結以を救うために逃げているのだが、彼らは逃げた先々で、ネグレクトの少年を、孤独な女性を、“救った”。2人は許されない罪を背負いながらも、同じように苦しむ誰かを無意識に(もしくは意識的に)“救うため”、逃げているのだ。
そして、肝心の大介だが、結以は自らの能力で知った、大介の“何か”を救うために逃げているのだろう。それが一体何なのか?それがこのドラマの物語性を支えている。

最後に、今回登場した莉里の造形は見事だった。なぜなら、彼女に“邪念”を一切抱かなかったからだ。第2話で登場した晶(原沙知絵)のように、今回も裏切られるのでは?という“邪念”を排し、登場したその瞬間から “信じられる人”として説得力を持たせた。そのことで、今回描かれた“青春”の純度を保つことに成功させたと言えよう。

もちろんその“邪念”を排することは、逃亡劇としてのスリルをそぐリスクもある。この人物が怪しいのでは?と思わせたほうが、サスペンスとしては有効だからだ。しかし今作はそれを選ばなかった。スリルよりも、お金よりも、もしかすると本筋で描かれる逃亡劇よりも――“ノンキ”にこそ、物語としての豊かさや、尊さがあると信じているからだろう。

とはいえ、なのだ。彼らがどう逃げ続けられるのか?“ノンキ”を自然に成立させるための緻密さと、ガン(志田未来)が登場したことによる大胆さによって、さらに逃亡劇の“緊張感”は増している。“緊張感”と“ノンキ”、それらが今、最高の位置でバランスをとっているのだ。今後も見逃せない。

■第5話あらすじ  
自由を求めて八神家から逃亡を続ける八神製薬の社長令嬢・八神(やがみ)結以(ゆい)(桜田ひより)と誘拐犯・林田大介(はやしだだいすけ)(佐野勇斗)は、逃亡の手助けをしてくれるガン(志田未来)と共に、大介の元カノ・莉里(りり)(影山優佳)のマンションに逃げ込んでいた。そんな中、結以の行方を追う父・八神(やがみ)慶志(けいし)(北村一輝)が突然記者会見を開き、結以と大介に呼びかける――「娘を返してください。結以と3人で会いませんか?明後日の夕方4時、結以が小さい頃、稽古をした場所で待ってます」。警察にもマスコミにも場所は教えない、謝礼も払うと約束する慶志。会見を見た捜査本部は慶志の勝手な暴走に怒り心頭…!

結以は大介に「最後のチャンスだよ」と、取引に応じるべきだと言う。自分を連れていけば、仮に警察が待ち構えていたとしても刑は軽くなる…と。しかし、「おまえの帰りたくない気持ちって、そんなもんだったのかよ」と反発する大介。そんな会話を聞いていた莉里は2人が駆け落ちではないことを知る。素直に謝罪し、経緯を話し始める大介。恩義のあるサイトーモータースの社長・斎藤(さいとう)丈(じょう)治(じ)(飯田基祐)の“八神製薬への復讐”に協力して、大介はこの誘拐計画に参加したこと…どうやらそれは、斎藤の娘の死と関係があること…。しかし、斎藤の娘が死んだのは結以が生まれるだいぶ前。それなのになぜ今になって、斎藤と山口(やまぐち)(結木滉星)は復讐を企てたのか…?

翌朝、莉里はネットニュースで斎藤が事件中に心疾患で亡くなっていた事実を発見する。事件以降斎藤と連絡が取れず身を案じていた大介はショックを受ける。斎藤の葬儀は明日。大介のために、結以は危険を承知で葬儀への潜入を提案する。タイムリミットは30秒!「最期のお別れ作戦」開始!しかしそこには、大介が来ることを予見した刑事の小宮山(こみやま)(松尾諭)と田端(たばた)(日高由起刀)がいた!そして、莉里の家には情報を手に入れた万代(ばんだい)(ファーストサマーウイカ)が迫っていた――!

警察との超近距離での攻防の末、仲間の誰かが…ついに捕まる!そして結以は、慶志との“約束”にどう向き合うのか!?

◆「ESCAPEそれは誘拐のはずだった」
毎週水曜よる10時~11時
(C)NTV

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