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「テレビ視聴しつ」室長・大石庸平は「ESCAPE」第9話をどう見たか?
2025/12/7 06:00
桜田ひよりと佐野勇斗が主演を務めるドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』の第9話が、3日に放送された。※第9話のネタバレを含みます
本作は、誘拐事件をきっかけに、人質の結以(桜田ひより)と誘拐犯の大介(佐野勇斗)が、なぜか2人で逃避行を続けることになるというノンストップヒューマンミステリーだ。
「人は、かかわって生きている」――家族や友人はもちろん、職場や学校、街でふとすれ違った相手にさえ、私たちは少なからず影響を与え、与えられている。颯爽と歩く誰かに清々しさを覚えたり、強い言葉を放つ誰かに心を痛めたり。そんなふうに“かかわっている”ことこそが“リアル”なのだ。
しかしその“かかわり”をドラマの中で描こうとすると、どうしても作為的な“伏線”になってしまう。物語の都合のように感じられ、作り物めいた印象になるからだ。
だが今作で描かれる“かかわり”には、必然性の重なりでも自然の連鎖でもない、ただただ純粋に“美しさ”が宿っていた。
その象徴となっていたのが坪井(猫背椿)である。第7話に登場した彼女は、これまでの逃避行で出会った人物の中でも異質だった。なぜなら、ネグレクトを受けた少年・星(阿部来叶)も、愛を求める孤独な女性・莉里(影山優佳)も、青春を知らなかったガン(志田未来)も、結以や大介と出会うことで“救い”が描かれてきたにもかかわらず、坪井だけは“救う側”として現れたからだ。また“彼女の傷”が物語全体でどんな意味を持つのか?その時はまだ見えてこなかった。
それが今回の第9話で鮮やかに回収された。
坪井が結以に渡した“ライター”、その実に作為的な“伏線”をきっかけに、大介が母・智子(野波麻帆)をギャンブル依存症から救い出すこととなり、最後のピースだった大介自身も救われた。さらには再登場した坪井は、かつて救えなかったという“彼女の傷”も、今度は自らが手を差し伸べる側となることで、自身もまた“救われた”のだった。
これは、物語の根幹である“結以が大介に誘拐されなければ起こらなかったこと”である。つまり、「人は、かかわって生きている」という、壮大でありながら最も困難な“リアル”を、今作のテーマである“救う”とともに、物語の中で確かに成立させてみせた瞬間=“美しさ”だったのだ!
一方で、父・慶志(北村一輝)の懸賞金が結以を窮地に追い込む展開や、そこへ“まぁみいチャンネル”という“ノンキ”が軽やかに挿入されるバランスも絶妙で、作為や必然を越えた、“かかわった”先の“美しさ”が随所に生まれていた。

最後にこのドラマの良心は、終着点になるであろう大介の自首が、結以の父への謝罪を経てから、としたことだ。大介にとって、また今作にとっての“筋”、それは自首よりも謝罪である。どんなドラマチックよりも人間の機微を描くことが優先なのだ。そんな本来の順番、倫理を超えた清々しさこそが、このドラマの良心なのだ。
ここまで描き切ったのだ。次回の最終回はもう、“大丈夫”に違いない。
■最終回 あらすじ
「私だって信じていないよ、パパのこと…でも、会う」――。八神製薬の社長令嬢・八神結以(やがみゆい/桜田ひより)と、誘拐犯・林田大介(はやしだだいすけ/佐野勇斗)。結以を捕まえて懸賞金3億円を手に入れようとする山口(やまぐち/結木滉星)のもとから命からがら逃げ出した2人は、ついに別れの時を迎える。結以は4年前から信じることが出来なくなり逃げてきた父・八神慶志(やがみけいし/北村一輝)と会う決心をし、大介も人生をやり直すために逃げ続けてきた現実と向き合い自首する決意を固めた。大介は自首する前に、今まで結以を連れ回したことを慶志にきちんと謝罪しようと思い、2人は覚悟を決めて慶志のもとへ向かった…。
一方、八神製薬はアメリカのフーバー製薬に買収され、慶志は社長の座を追われてしまう。失意の中、結以を保護したという男からの連絡を待ち続ける慶志のもとに、週刊誌記者・白木(しらき/山口馬木也)が現れ、「あなたにかけられた呪いを解いてあげようと思ってやってきた」と話し出す。慶志と白木、ともに八神製薬創業者・八神恭一(やがみきょういち/間宮啓行)に出会ったことで、人生を狂わされた2人…。白木が調べてきた事実を基に、2人は“さとり”とは何か、その能力の本質を解き明かす対話を始める…。
ESCAPE…はじまりは、犯人と人質のはずだった。しかし、2人は逃亡生活の中で、多くの人と出会い、別れ、自分たちの人生を見つめ直す機会を得た。逃げ続けた2人が迎える、運命の最終回。目の前の“何か”に抗う、すべての人々に贈る、ハチとリンダの“誘拐事変”。この誘拐が終わるとき、本当の人生が始まる。ふたりが最後に目にした景色とは?その結末は、涙か。笑顔か。
◆「ESCAPEそれは誘拐のはずだった」
毎週水曜よる10時~11時
(C)NTV

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