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『パン恋』室長・大石庸平はどう見たか?「不思議なほど圧倒的な、“新しさ”なのである」
2026/1/12 12:00
上白石萌歌と生田斗真がW主演を務める新ドラマ『パンダより恋が苦手な私たち』(毎週土曜よる9時放送)が1月10日にスタートした。
このドラマは、毎日をなんとなくやり過ごしていた雑誌編集者(上白石萌歌)が、“動物の求愛行動”にしか興味がない准教授(生田斗真)と出会ったことで繰り広げられる、アカデミック・ラブコメディだ。
大石庸平氏は、こう語る。
テレビドラマにおける恋愛モノにおいて、重要なのは“新しさ”だ。
なぜなら、“人を好きになる”という普遍的な営みを、時代を映す鏡でもあるテレビドラマで描くならば、設定や切り口に新鮮さがなければ、“今”放送する意味がないからだ。
かつてのヒット作にあった「年の差」や「契約結婚」「疑似恋愛」、あるいは直近の「多様性」や「料理」など、独自の“新しさ”を織り交ぜることで、恋愛ドラマの格は決定づけられてきたと言っていいだろう。
では今作はどうだろうか。動物行動学の視点で人間の恋を紐解いていくという点において新味は感じられるものの、変人とバディを組む型や、廃刊危機の雑誌再建というお仕事ドラマとしてのフォーマットは、言ってしまえば“ありきたり”だろう。
だがしかし、初回を観終えた後に残るのは、不思議なほど圧倒的な、“新しさ”なのである。
その新しさの正体は、恋愛という“自分事”を、あえて中心に据えないことにある。
本来、恋愛ドラマとは主人公自身の恋がメインプロットとなるのが定石だ。しかし今作の一葉は、恋人・真樹(三浦獠太)の存在こそあるものの、その描写はどこかフラットで、大きな熱を帯びていないように感じられる。ラブコメディでありながら、主人公の恋が、あくまで“サブストーリー”に感じられるのだ。
今作が重きを置いているのは、毎回のミッションにもなるであろう、一葉の憧れであったモデル・アリア(シシド・カフカ)の代弁者として向き合う、“誰かの恋愛相談”だ。
そしてそこで特筆すべきなのが、登場人物たちが皆、恋愛とは無縁の“自分事”に邁進している点である。
一葉にとってはコラムを成立させること、アリアにとってはくすぶっている現状を打破すること、そして椎堂にとっては最も“自分事”な、動物の求愛行動を語ること――。
彼らは決して自分の恋に奔走しているわけではない。しかし、各自がそれぞれの、恋愛ではない“自分事”を必死に全うしようとしたその結果、熱量が回り回って、不思議と相談者である、他者の“自分事”=恋愛を鮮やかに救っていくのだ。そこが実に、“新しい”切り口の恋愛ドラマなのだ。
また、一葉がアリアの代弁者として答えを導くという設定も効いている。一葉個人の感情の吐露ではないからこそ、そこには「恥ずかしげのない客観的な熱量」が宿る。自らの恋であれば躊躇してしまうような真っ直ぐな言葉や分析も、仕事として、あるいは代弁者として他者の悩みに向き合うプロセスにおいては、一切の迷いがない純度の高い熱を帯びる。この「代弁ゆえに強まる熱量」が、物語に推進力を与えている。
一方で、その熱量に触れたアリアも、自らの鬱屈を打ち破ろうと何かに気付いていく…。一見すると傲慢なキャラクターと、それに巻き込まれた主人公という構図に見えながらも、その実、登場人物たちの機微は繊細に描かれているのだ。
だがそのまた一方で、成長を感じさせるキャラクターたちの中で、“成長”を感じさせない、孤高の変人・椎堂というコントラストも面白い。
そしてこの、“ありきたり”のように見せながら、圧倒的な“新しさ”を感じさせる感覚は、劇中でアリアが放った「みんなが共感できるのに、これまで誰もやってこなかったことをしたい」というセリフそのものだ。ドラマ自身が、この言葉を体現しているだ!!
……と、ここまでややこしく考察してはみたものの、シンプルな動物の求愛行動をヒントに、複雑な人間の恋愛模様を明快にひも解いていく様は実に楽しく、勉強にもなる。シンプルだけど複雑に、難しいけれど楽しく、この先も今作を“アカデミック”に堪能していきたい。
■第2話あらすじ
仕事も恋もどん底の編集者・柴田一葉(上白石萌歌)は、幼い頃から神と仰ぐ憧れのカリスマモデル・灰沢アリア(シシド・カフカ)のゴーストライターとして恋愛相談コラムを書く羽目に。恋愛になんて自信もない一葉は、“恋愛スペシャリスト”とウワサの准教授・椎堂司(生田斗真)に相談。ところが、一見クールなイケメンの司は、人間の恋愛にはまるで興味を示さない、野生動物の求愛行動が専門のとんだ変わり者で…。仕事も恋も野生に学べ!一葉は司がアツく語る動物たちの求愛行動をヒントに恋愛コラムを執筆。コラムは反響を呼び、休刊寸前の生活情報誌『リクラ』の部数もアップ。この調子なら休刊は免れるかも…と思いきや、鬼の編集長・藤崎美玲(小雪)は「次号でこの雑誌がなくなることを大々的に告知します」と、休刊に向け着々と準備を進め…。
プライベートでは5年付き合った彼氏・牧野真樹(三浦獠太)にフラれてしまった一葉。なんとか気持ちの整理をつけたものの、「引っ越し代がないから、しばらく住ませて」という真樹のお願いを断りきれず、しばらく泊めてあげることに。優柔不断な一葉を、先輩編集者・紺野幸子(宮澤エマ)は「甘い。私だったら、とっととたたき出してる」とバッサリ。勝気な性格が災いしてか、かれこれ5年以上彼氏がいない紺野は、同期でアウトドア雑誌の編集者・安原剛志(笠原秀幸)と顔を合わせればケンカばかり…。
一方、アリアは、一葉のコラムを読んで突然怒り出し、「この企画から降りる!」。マネージャー・宮田真悟(柄本時生)の説得でなんとか機嫌が収まるものの、アリアはコラムの内容に何やら不満がある様子…。
そんな中、次のコラムの相談が決まる。婚活中の30代女性からの相談で『マッチングアプリに登録するとたくさん連絡が来て、いろんな人と会うのですが、しばらくやり取りをしていると自然と連絡がなくなります。どうやったらちゃんと誘われますか?』。モテたことがない一葉は相談者の悩みがさっぱり理解できないが、紺野は「私はちょっと分かるな」と共感。紺野も同じ、結婚できないモテ女で…。
そんな中、司の身に緊急事態が発生!?一葉のスマホに司の助手・村上野乃花(片岡凜)から連絡があり、「柴田さん!助けて!」。一葉は慌てて研究室へ――!
どうすれば結婚できる?どうすれば恋愛上手になれる?一葉と司は、パンダの求愛行動から答えを導く!
◆『パンダより恋が苦手な私たち』
2026年1月期土曜ドラマ
毎週土曜よる9時から放送
2026年 1月 10 日(土)
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(C)NTV

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