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『災 劇場版』公開記念舞台挨拶に香川照之、中村アン、竹原ピストル登壇!

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2026/2/22 10:55

―昨年、第73回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティション部門に正式招待された『災 劇場版』。WOWOWの「連続ドラマ W」を再構築し、全く新しい「恐怖」を描く映画として生まれ変わったサイコ・サスペンス映画である。
この度公開を記念して2月21日(土)、新宿武蔵野館にて舞台挨拶が行われ、主演の香川照之をはじめ、共演の中村アン、竹原ピストル、関友太郎監督、平瀬謙太朗監督が揃って登壇した。

映画を観終えたばかりの観客の拍手に迎えられた香川は、感謝の言葉を口にするとともに「4時間半、6話のドラマを2時間超の作品に編集し直していますが、撮影する前の段階から監督2人は『映画にする』、『映画版ではこういう編集にする』と(ドラマと比べて)メチャクチャな順番の編集を理路整然と私に話されていて『これはすごいな!』と思い、ドラマを撮りながらも映画になるのが待ち遠しいと思っていた作品でした」と明かし、念願かなっての劇場公開を迎えての喜びを口にした。

いったいどのようにして、この奇妙な物語が構想され、完成に至ったのか? 関監督は自身が所属する監督集団「5月」の映画づくりの手法、スタンスについて「僕らはいつも映像の見せ方のアイディア、映像の構造や手法の面白いアイディアが出てきてから、企画を立ち上げています」と説明。「最初に考えたのが、バラバラの舞台が5~6個あって、そこにバラバラに主人公がいるんですけど、全ての物語にひとりだけ同じ男が出てきて、その男が現れた後に大変なことが起こるという構造でした。見ている人は男の存在の危うさ、怪しさに気づくけど、(それぞれの物語の主人公である)映っている人は何も気づかない――その状態がすごく怖いんじゃないか? ということで(企画が)動き出しました」と振り返る。

そして、平瀬監督が「ちょっと特殊な構造の物語ですが、全然違う見せ方をしたら、映画の2時間という尺の中で再構築できるんじゃないか? という考えが出てきました。そうした中で“災い”というテーマが生まれました。この構造を伝えられるテーマとして、我々のすぐ身近にある“災い”がテーマになるんじゃないかということで、この物語が生まれました」と構造から物語のテーマへとつながっていったと明かした。

関監督、平瀬監督にとって、香川とのタッグは映画『宮松と山下』に続いてとなる。今回、香川がキャスティングされた経緯について、平瀬監督は当初、この企画自体があまりに俳優への要求のハードルが高過ぎて「机上の空論で終わるんじゃないか?」と企画が実際に成立するのは難しいと考えていたことを明かしつつ「ある時、企画会議で『香川さんならどうだろう?』という話が出た時、『香川さんならできる!』と盛り上がりました。『宮松と山下』で1か月半くらい毎日ご一緒して、“香川照之のやれること”がわかっていたので、その時、僕らの中で(この企画がやりたい作品のランキングの)1位に一輝に躍り出て、『これをつくろう!』となりました」と振り返った。

香川は、何役もの「男」を演じる今回のオファーについて、監督集団「5月」への深い信頼を口にし「僕自身、60になりましたが、僕が映画のエキスとして感じていたこと――『何が怖いのか? 何が面白いのか? 何が笑いなのか? 何が泣くことなのか?』――それがこの歳になっても、いまの若い世代と共通項があるのか? 常に確かめないといけない。(関監督と平瀬監督は)その共通項を確かめるにふさわしい2人なんです。30代の2人と、この感覚が果たして正しいのか? 確かめたいという気持ちがあり、この2人との仕事は、それを再認識するいい機会なんです」と語った。そして具体的に、演じる上で「監督からは『“役”ではなく“現象”を演じてください』と言われました」と述懐。「僕にとっては、『現象を演じる』というのが腑に落ちるものがありました。役のほうが狭いように見えて、実は難しくて、現象というものは抽象的に見えて、実は通じているものがあるので、6つの現象を(ある男として)ひとつに集めるというのは、僕の中数式が成り立つ部分がありました」と手応えを口にした。

撮影がほぼ順撮りだったことも、香川にとっては重要な要素だったようで、6つの役を順番に演じながら「ひとりずつ『今日でお別れだね』とお別れしていきました。(役との別れは)寂しさよりも、生まれ変わっていくようで面白かったです。戻ることがない不可逆性のもので、転生というものがあるなら、こういうものだろうと思いながらやっていました」とふり返っていた。ちなみに、最初の物語段階で香川が長髪なのも、実は偶然だったとのこと。「人生で伸ばしたことがなかったんですが、偶然、伸ばしていたんです。お話をいただいた際『髪の毛、切りたくないんですがいいですか?』と言ったら、それがぴったりの役でした」と運命的とも言える巡り合わせを明かした。

一報で中村は、これまでのパブリックイメージを大きく打ち破る刑事・堂本を見事に演じているが「竹原さん(が演じた同僚刑事の飯田)に『お前、臭いからシャワー浴びてこい』と言われますが(笑)、本当はそういう役に巡り合いたかったんです。私は外見が派手なもので、煌びやかなイメージを持たれやすいんですが、お芝居の根底に自分にはこういう部分がありますし、この出会いに感謝しています」と充実した表情を見せる。

竹原は「最低限、セリフだけはとにかく必死に覚えて現場に行きました」と監督に身を委ねたとふり返り「カットが掛かった後、平瀬監督がいらっしゃるときは100%ほめ言葉なんですけど、関監督が来るときはダメ出しなので、カットが掛かるたびに『関監督、来ないで!』と思ってました」と明かし、会場は笑いに包まれた。

竹原は以前から「大ファンだった」という香川との共演シーンについても言及。「ご一緒させていただけて嬉しいとか緊張するという気持ちは大前提としてありつつ、“あの男”が怖かったです。不吉で不穏な雰囲気がびりびり伝わってきて、じっと見ていると、貧血を起こした時のようにサーっと視界が狭まってくるような、吸い取られていくような感覚がありました」と香川と対峙して感じた“恐怖”を明かした。

ちなみに、香川、中村、竹原は現場での佇まいも三者三様だったよう。中村はセリフをつぶやきながら遠くへ歩いていってしまうことが多く、竹原はボクサー時代の名残から、身体を揺らしながら自らを落ち着かせようとしていたそう。そして、香川は「僕はセリフは回りながら覚えるタイプ」とのこと。香川は「中村さんはオニヤンマタイプで、僕はギンヤンマタイプですね」と得意の昆虫ネタで分析し、会場は笑いに包まれていた。

舞台挨拶の最後に香川は「私自身、役者をずっとやってきまして、60を超えて、いつまでできるかわかりません。その中で、キャリアの中盤では、『半沢直樹』のような、みなさまにとってわかりやすい“悪役”をやらせていただきました。一方で、『東京ソナタ』や『クリーピー 偽りの隣人』のようなフィルムノワールの中の“陰”の男もやらせていただきました。今回は、その後者の集大成だったと思います。今回の6役を経て、もうやることがないので、劇場で私の姿を見られるのは、もう最後かもしれません。僕の中では“陽”の方向の悪役と“陰”のタイプの悪役の集大成が整ったという感覚です。なので、ひとりでも多くの方に見ていただきたいと思っています」と本作への強い思いを口にし、会場は熱気と温かい拍手に包まれて舞台挨拶は幕を閉じた。

映画『災 劇場版』は絶賛公開中。
(C)WOWOW

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