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【彼女が舞台に立つ理由】 安藤春菜
7時間前
「もう、ここにいるしかないって思っているんです」
そう彼女は語る。
「結局、会社で決まった時間に決まったことをするようなイメージができなかったんです。だから、ここにいたしい、ここにいるしかない」
これが彼女が舞台に立つ理由だ。
<プロフィール>
■安藤春菜
出身地 岐阜県
生年月日 1995年12月24日
身長 156cm
趣味 読書、ハンドメイド、アニメ鑑賞
特技 裁縫
資格 普通自動車免許(AT)、※方言:東濃弁(岐阜県)
経歴 劇団俳優座33期生 2024年入団
本格的に演劇に触れることになるのは高校に入学してから。顧問の先生が熱心に取り組んでいて、特に舞台装置には力が入っていた。彼女が演劇部に導かれたのはある理由があった。
「中学生の時はバスケットボール部でした。ただ、ちょっとイジメみたいなものもあって、そんなことがあったから、自分に自信が持てなくなっていました。人付き合いってとても難しいなって思ったり。ただ、今から振り返れば、とにかく何か変わろうって。それで選んだのが演劇部だったと思うんです」
最初に舞台に立った際に選んだ役は「女3」。これは自分で立候補をしたことで決まった。この役名であれば、さほど重要な役柄ではないだろうというのが、その理由であったという。しかし、意外にも「女3」は重要な役であった。それでも、とにかく本番まで駆け抜け、演じる楽しさに夢中になっていく。
「照明を浴びるのが楽しかったんです。周りの先輩方が緊張をされている中、すごくワクワクした自分がいました。今でも稽古の時は演出家さんや他の役者さんの視線が気になってしまうことがあるのですが、本番になると、私は気にならなくなるんです」
この舞台は大きな成功体験になった。もともと中学生になるまでは外で遊ぶのが大好きで、人前に立つことは苦手ではなかった。そんな本来の彼女を高校の演劇部は呼び覚ました。1つの舞台が終われば、また新しい役を演じたい。そうして高校時代は舞台に立ち続けた。これだけ演劇に魅了されれば、演劇を仕事にしたいと夢見ることも必然だろう。演じる側でなく、裏方としてでもいいから、とにかく携わって生きていきたい。大学では関連する学部に進学したいと考えた。
「でも当時は結局、自信がなかったんだと思います。この時は親にも学校の先生にも相談をすることもできなかったですね。大学は文学部を選びました」
大学に入学すると、最初は音楽関係のサークルにも興味を持った。ただ、やはり選んだのは演劇であった。先輩は5人しかいなく、決して規模の大きな演劇サークルではなかった。ただ、この場で、彼女は新たな刺激を受ける。
「サークルには卒業生たちのビデオが残っていて。それを見るとすごかったんです。また、すごく上手い女性の先輩もいました。その方の演技って、パワフルでガンガンと押して引っ張っていく感じ。まさに“動”の演技でした。これは今も課題ですが、私の演技は間違ってはいないけど“弱い”と言われてしまうことがあるんです。表現としてもっと強く押し出そうとすると、私の中では過剰な演技になってしまうのではないかという不安もあって」
自分の演技の課題も見つかった。「とにかく、もっともっと上手くなりたい」という気持ちは強くなっていく。彼女にとって上手くなるとは、「もっともっと観客を演劇の世界に巻き込むこと」だという。大学での活動で演劇への熱はさらに増していった。ただ、そんな大学生活も決して永遠ではない。すぐに進路を選ぶ時期を迎えた。
「やはり一般的なレールに乗らなきゃいけないのかなって思って、結局は就職をすることになったんです。結婚式場のカメラマンの仕事でした。ただ、職場には合わないと思い、すぐに辞めることになります。結婚式場のメインの仕事は土日で、これでは舞台を見に行く時間がなかなか取れなかったのも大きな理由でした」

やはり、彼女の心の中には演劇の存在が大きかった。ただ、とにかく自分の生き方を整理したい。そう考えて職場を辞めて、時間を作った。そうしてあらためて決意を固めた。「やっぱり演劇がやりたい」と。親にも初めて決意を明かした。
「親に説明するのが怖かったんです。それで直接、会わずに電話で話しました。あらためて会うことになるのですが、親からは『大学を選ぶときにも進路をもう少し考えてみれば良かったね』と言ってもらえて……私は相談できていなかったことに、すごく後悔をしたんです。この時は23歳だったのですが、30歳までに頑張ってみてうまくいかなければ考えようって言われました。絶対にダメみたいなことは言われませんでした」
そして彼女は上京を決意。専門学校に入った。プロの指導者に教えてもらえる機会を得たが、話は簡単には進まない。世の中は新型コロナウイルスの騒動で、思うように学校生活は送れなかった。ただ、それでも目指す方向はぶれなかった。卒業後、いくつかの新劇の養成所を受験して俳優座に入ることになった。
現在、彼女は30歳になり、俳優座の舞台に立っている。そして舞台の上の彼女はどんな“動”の演技を見せてくれるのか。楽しみだ。
(取材・文:海老原一哉)

■安藤春菜出演情報
「ガリレイの生涯」
会場 東京・両国 シアターΧ
公演日程 2026年9月7日(月)~16日(水)
安藤春菜のコメント
ガリレオ先生の大きな発見をスタートにして、その生涯が終わるまでを追う舞台です。たくさんの登場人物が出てくる中で、その人物たちが大きな発見についてどう受け取って、どう考えるのか。歴史上では名前も知られない民衆がキーになる作品になっています。
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